食形態の整備
食べることや飲み込むことに障害が起こった場合、その程度に応じて食事の内容、すなわち食材の質、大きさ、硬さ、などを変える必要があります。このコーナーでは食べたり、飲み込んだりすることが困難(摂食・嚥下障害)な方に少しでも楽しく、お口で食べられるような食事、すなわち「介護食」について考えていきたいと思います。

介護食の条件(手嶋登志子氏著書・介護食ハンドブックより抜粋)
口腔から咽頭部をなめらかに通り、むせずに、粘つかないで嚥下できる‘のどごしのよい食事’にする
みた目もきれいで食欲がわき、おいしいものにする
(例:どろどろの‘おじや’のままでなく、‘茶碗蒸し’などに再形成する)
誤嚥しやすい食べ物’に気をつける
エネルギー、栄養素、水分が必要量とれるようにする
誤嚥しない姿勢で、ゆっくり、少しずつ食べさせ、最後に水分をとって咽頭部に貯留した食物をよく洗い流すようにする
愛情と敬意のこもった介助をする(一口でも召し上がっていただきたいというこころを示す)

のど越しのよい食事
時間をかけて軟らかく調理されたもの
ゼラチンや寒天などで寄せたもの
くず粉、かたくり粉でとろみをつけたもの
お茶、ジュース、しる物などにでん粉、ゼラチン、増粘剤などでとろみをつけたもの
酸味のものはむせないようにうすめたもの
和え物の衣は、衣の量を多くし、よくすりあわせ、とろみをつけたもの
7 卵を使った軟らかい蒸し物など
8 やまいもやお粥などの粘りを利用したもの
9 彩りよく、食欲の起きるようなもの

誤嚥しやすい食品形態と食べ物の例
水分状のもの(水、お茶、ジュース、みそ汁)
繊維状のもの(たけのこ、ごぼう、もやし、ぼそぼそした魚)
スポンジ状のもの(食パン、カステラ、凍り豆腐)
かまぼこ状のもの(かまぼこ、ちくわ)
口腔内に付着しやすいもの(干しのり、わかめ、なっぱ、ウエハース)
のどに詰まりやすい種実類(だいず、ごま、ピーナッツ)
7 酸味が強くむせやすいもの(オレンジジュース、梅干し)

<介護食の意義>


「介護食」って何? 摂食・嚥下機能が低下した高齢者に対応できるように、
おいしく、むせずに、食べやすく、しかも栄養的な食事のことです。すなわち介護食とは、あくまでも口から食事をとれるように考えられています。嚥下障害の大きな問題点は、食事や飲み物を誤嚥して嚥下性の肺炎や窒息を起こす危険が大きいこと。これを避けるために経管栄養や中心静脈栄養など安全性や介助の手間が省ける方法があり、最終的にはこの方法に頼らなければならない場合があります。しかし食べるということは舌で味を感じたり、かむことで脳に刺激をあたえて生活の質(QOL・ quality of life)、生きる意欲を得るわけですので、出来るだけ口で食べれるように工夫していくことが大切なこととなります。それが「介護食」なのです。介護食にはこんなすばらしい意義があるのです。一緒に食べ物・食べさせ方・食べる環境について、勉強していきましょう。 
(ビジンさん)