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〒059-0026 北海道登別市若山町4丁目40-5メープル・ペット ワン101号室
おそらく、私が当地に引っ越してきて6年間、おそらく最も大きな出来事は、昨年1月の、父親の死去でした。そして、私が6年前に、東日本大震災後の福島県から当地に越してきた大きな理由の一つが、この父と母が高齢になったこと、でした。
30年ほど前、私の両親は、内地から伊達の地を選んで移り住み、当時20歳台だった私と、少し年上の兄に対して、「お前らの負担にならんように、自由にやるから。お前たちも好きに暮らせよ」と、息子たちにある意味、引導を渡したのでした。
しかし、それから時は過ぎ、両親は年老い、父が入院を繰り返すたびに私は福島から呼び出されることとなりました。また、父の育てていた畑のブルーベリーは、父の入院の度に、収穫されぬまま実を落とすこともありました。
私は、(それがすべての理由ではないにしろ)両親が作り愛した伊達の自宅で、両親が望んだように、そこで父母を看取るために、この地へやってきたのです。
この国の同時代の方々の多くが、同じ問題に突き当たっているのではないかと思います。核家族化、少子化、そして超高齢化。私たちは自分の親を、高齢者を、どうやって看取ることができるのか。・・・私は幸いにして、在宅医療をなりわいとしている医者であり、事実、父が亡くなる前の数年間は車椅子生活だったこともあり、登別から伊達の家に足繁く「往診」「訪問診療」に通うことができました。ベッドから落ちたまま動けなくなっているのを発見したことも何度かありました。登別で私どもと一緒に暮らすことも何度も提案していました。それでも父は、伊達の自分の家で生活し続けることを選んだのでした。
しかし、父は結局のところ、最後の2ヶ月を病院で過ごし、そのまま病院で息を引き取りました。私は、父の希望も、私の職分も、全うすることはできませんでした。
私は、現在在宅訪問診療を専門に行っていますが、この1年、その自分自身の仕事も見つめ直し、また、在宅医療、というもの全体についても様々思いを巡らせました。在宅医療、は、何も、看取りだけに限ったもの、というわけではないのですが、やっぱり、そう簡単なものではない、ということも今さらながら実感しています。
一方、私がずっと取り組んできた「在宅医療」と、昨今実際に行われている「在宅医療」が、必ずしも「同じ(同質の)」ものでもないようにも思えてきています。私自身どんどん年老い、時代はどんどん変化しているのです。在宅医療は、もしかすると、とても「特殊」なものになっているのかもしれません。
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といった、私個人の感傷はいったん横に置くとして、・・・・・・
・病院入院中で「家に帰りたい」と思う方。
・「病院に入院するのはいやだな」と思う方。
私も、自分の家が大好きです。
もしかしたら、幾分かお力になることもできるかもしれません。あるいは、私では力不足のことも大いにあるかもしれません。
私に何ができるのか。どんなところが足りないのか。一度、ご相談させてください。
2013年から登別の地に居を構え、2014年2月から「みながわ往診クリニック」を開業いたしました、皆川夏樹と申します。
登別市は、室蘭市のお隣、工場街のベッドタウンとしての位置づけもあり、また、2次医療圏としても、室蘭・登別・伊達、と一体で、西胆振医療圏を形成しています。今回私は、東日本大震災と、そのあとの原発事故後遺症に悩む福島県いわき市から転居してきましたが、いわき市と比較して、この西胆振での、病院の充実ぶりにまず驚きました。
「日鋼記念病院」「製鉄記念室蘭病院」「室蘭市立総合病院」という3大病院が主として急性期医療をそれぞれに担っており、その他にも脳神経外科病院もあり、いわゆる療養病棟を多く持つ療養型病院も多数あります。
調べてみると、数年前のデータですが、西胆振の病床数は5795床で、人口10万あたり2894床。全国平均では人口10万あたり1306床ですから、実に倍以上、標準偏差値では81!と、受験生なら東大も狙えるくらいです。因みにいわき市は人口10万あたり1591床、標準偏差56、と、全国平均は上回っているものの、全国でも悪名高い、「救急車たらいまわし」の頻発する地域とされていました。
二次医療圏 | 人口 | 人口密度 | 病床数 | 人口10万あたり病床数 | 標準偏差 |
全国 | 128,057,532 | 343.4 | 1,672,549 | 1,306 | |
北海道 | 5,506,419 | 70.2 | 103,592 | 1,881 | 61 |
西胆振 | 200,231 | 147.6 | 5,795 | 2,894 | 81 |
いわき | 342,249 | 277.9 | 5,445 | 1,591 | 56 |
もっとも、北海道全体の平均が1881床、と、やはり全国に比して高いレベルではあり、こうした比較は、雪深い地であることや人口密度、高齢化率、等、様々な要因を重ねて議論すべきことには違いありませんが、それでも、転地してきた者にとって、まず目に付いたのは、「誰でも入院できる」「退院しなくてもよい」ような、医療体制でした。
もちろん、西胆振の現場の医者・医療従事者は、「誰でも入院できる」とは思っていないでしょう。しかし、あくまで、より病床数の限られた、医師数の少ない地域と比較をしてみると、この西胆振医療圏では、入院、に対するハードルは低く、かつ、急性期治療が終了した後でも、さらに入院を継続させてくれる病院もふんだんにあるように見えます。
私自身は、これまで、急性期総合病院で脳梗塞の診療、回復期リハビリテーション病棟でのリハビリ担当医、そしてまた、療養病棟の担当、老人保健施設の担当医、特別養護老人ホームの担当医、訪問診療専門のクリニック、と、おそらくは、特に高齢者が急性期病院に入院したあとに行きそうな、ほぼ全てのパターンを経験してきました。同時に、そのキャリアのほとんど全てで、訪問診療を継続して行ってきました。その経験から、この歳になって思うのは、やっぱり自分の家がいい、ということです。
私が担当してきた、入院している患者さんの多くは、やっぱり自分の家に帰りたい、と思っておられたし、在宅に訪問診療をしていた患者さんの多くは、入院したくない、と思っておられました。
だから、急性期病院での治療が終了して、「もうこの病院から退院してもいい」と言われた患者さんについて、もしその方が自宅に帰りたい、と思われるのなら、そのサポートができるような選択肢として、この度「みながわ往診クリニック」を立ち上げました。西胆振地域では、病院が充実していて、病床数が豊かだからこそ、逆に、自宅に居ながら医療を受ける、ということについての認識が、病院側にも、患者さん側にも少ないのではないか、と思われたのです。
もっとも、当たり前のことですが、「その必要があって」「望んで」病院に入院をする方もたくさんおられます。誰でも(少数の例外を除いては)入院は基本的にはしたくないものでしょうが、自分の年齢や体の状態、病気の実状、医者の意見、家族との関係や職場との関係、などなど、様々なことを秤にかけて、入院、を選択されます。私どもも、病院では、入院してくる患者さんの治療に全力で当たり、治療が奏功して家庭に帰られることを願います。
しかし、高齢になって、入退院を繰り返して、次第に動けなくなって、病院での治療も積極的にはできることが少なくなって・・・、あちこちの病院や施設を転々とするようになっていく、というのもまた、現代の高齢者の一つの現実であります。ご家族の都合であったり、ご本人の希望であったり、それは様々でしょうが、もし、自分の家に帰りたい、帰してあげたい、自分の家に居続けたい、という思いがありましたら、私どものクリニックにご相談下さい。
みながわ往診クリニック
2014年2月 開設
住所:北海道登別市若山町4丁目40−5 メープル・ペットワン101号室
電話:0143−83−5962 / FAX:0143−83−7083
メールアドレス: minagawa@aroma.ocn.ne.jp
1983年3月 東京都立青山高等学校卒業
1989年3月 国立京都大学文学部卒業(仏文学専攻)
1996年3月 国立京都大学医学部卒業
1996年4月 長野県厚生連佐久総合病院就職
1998年 千葉県大網市、老人保健施設「杜の街」施設長着任
1999年 国立東北大学医学部大学院国際保健学教室所属
2000年 いわき市立常磐病院着任(内科・リハビリテーション科・在宅科)、療養病棟担当
2005年 いわき市山内クリニック在宅診療部部長
2009年 いわき市立総合磐城共立病院着任(内科(脳梗塞)・リハビリテーション科・在宅科)、回復期リハビリテーション病棟担当
この間、2009年に、NPO法人訪問看護ステーションぱれっと(いわき)立ち上げ(代表理事)
2013年9月 登別へ転居。製鉄記念室蘭病院短期勤務/室蘭太平洋病院・皆川病院非常勤勤務
2014年2月 みながわ往診クリニック開院
NPO法人訪問看護ステーションぱれっと(登別)開所
<所属学会>
・日本リハビリテーション医学会
・日本摂食嚥下リハビリテーション学会
・日本脳卒中学会
・日本温泉気候物理医学会
・日本音楽療法学会