チューブ染色































































以前から経管栄養を行っている方がチューブ交換の際に発熱を起こすことが指摘されていましたが、その原因が口の中の細菌が関与している事実が判明しました。下記写真をご覧になるとお分かりのように、使用チューブを歯の歯垢を染め出す染色剤で染めますと1週間も入れておきますと、真っ赤にそまります。これはバイオフィルムと云って歯垢の一種でこの中にはものすごい数の細菌が存在します。これらがチューブを抜く際に気管の入り口に剃り残し、その後のチューブ注入で押し込んでしまうのです。これらバイオフィルムは口の中の細菌や唾液によって増殖します。それらを予防する手立ては抗生物質などの化学療法ではバイフォフィルムは防御してしまい効果が上がりません。除去には機械的方法しかありません。すなわち口の中の機械的清掃がもっとも効果があります。そのためにも口から食べられなくなっても口腔の清掃を十分にしなくてはなりません。
このバイオフィルムの付着についての研究は現在いわき食介護研究会と総合病院、歯科大学病院共同研究が行われています。また結果を報告したいと思います。


 
バイオフィルムの知識
「バイオフィルム」とは、微生物などがコロニー状に凝集して、固体の気質などに付着した状態をしめすもので、身近な物では水道管や掃除してない風呂場のタイル、川面の石の表面のあのヌルヌルのものを云い、体内では口の中の歯苔がバイオフィルムである。
 バイオフィルムは緑膿菌、黄色ブドウ球菌、肺炎桿菌、肺炎球菌、う蝕原因菌といわれるミュータンス連鎖球菌、歯周病原因菌であるグラム陰性嫌気性桿菌と唾液や組織液に含まれる糖タンパク質に由来するペリクル(獲得被膜)と共に構成されている。
 バイオフィルムは抗生物質や免疫物質などの浸透を阻止し、破壊への抵抗性を示すため、除去には機械的除去しかなく、歯垢や経鼻経管栄養チューブ付着への予防には原因菌の削減と使用期間の短縮が効果的である。 
 ICUの患者では、気管チューブや経鼻経管栄養を使用している方に肺炎が多いことが問題になっている。その原因はそれらの器具に付着する細菌が誘因といわれている。
 口腔内に常在しているブドウ球菌、肺炎球菌、緑膿菌、肺炎桿菌は、それらのカテーテルにバイオフィルムを形成し、そのバイオフィルム細菌がカテーテルを介して呼吸器官に容易に入り込み、人工呼吸器関連肺炎(ventilatorassociated pneumonia VAT)発症させる。