私が主宰する「いわき食介護研究会」では「介護食」を日常の生活支援の食事と位置づけし、病状回復を目的とする嚥下食は「医療食」として区別している。
「医療食」には入院中に提供される一般食をはじめとして、経管食、治療食、病態食、嚥下食(嚥下困難食、嚥下段階食、嚥下訓練食等)などがあり、「介護食」には要介護者の食べられない諸問題に対応するために、病気対応、義歯対応、環境対応、介助対応などの対応分類に分けられる。「誤嚥の防止と咽頭残留物の除去」を目的とする嚥下食と「高齢者・障害者施設や家庭などの生活の場で介護を必要としている人に対して提供される誤嚥や栄養障害を防ぐように工夫された、おいしく感じる食事」を目的とする介護食とでは目的が異なる。さらに、キザミ食、ミキサー食、つぶし食、ソフト食、トロミ食などは「医療食」「介護食」それぞれの配食の基本となる調理方法として、形態・物性的な分類をしている。この調理方法および用語こそ基準化する必要があるのではないだろうか。介護とは人間として、人間らしく、いきいきと生活が送れるように支援することであり、医療や福祉にかかわる人々がそれぞれの立場から協力しあわなければならない。介護食分類は独自に主張する職種、団体、個人で議論されるものではなく、介護職や現場の意見にも耳を傾け、食事困難者の目線で議論されなければならない。