食事をおいしく食べられますか?
介護には食事、入浴(清潔)、排泄が重要な介助と言われております。すなわち食べること、歩くこと、排泄することを一人で出来ることが介護の目標となります。これらの問題を解決していくために、日常の動作から早期に発見し、対応する必要があります。
介護老人保健施設では入居者の社会復帰への自立のお手伝いを第一に考えており、入所なさっている方一人一人に合ったリハビリを心がけております。特に「食」に関しては、食環境を把握して、おいしく食べるための訓練や治療を行い、在宅復帰へ向けた食環境(在宅栄養指導など)を家族と共に考え、お手伝いをしていかなければなりません。
筆者が8年前より施設協力歯科医をしている介護老人保健施設「小名浜ときわ苑」ではユニットケアを導入するに当たり、入所者の食環境の見直しが行われ、「食介護室(食リハビリテーション室)」を新設しました。基本的構想から企画、設計まで携わることができたのでご紹介します。
食介護室は約30平米(9坪)の広さを有し、「食事介助コーナー」「介護食指導コーナー」「口腔ケアコーナー」「食介護関連品展示コーナー」の4つのブロックに分けられている。
「食介護室の機能」
1、各種検査室として
食環境アセスメント、食形態アセスメント、栄養アセスメント
口腔アセスメント、摂食嚥下アセスメント
2、食介護指導室として
環境指導
・食卓のテーブルの高さ、大きさ、照明の種類、クロスの色など食事介助指導
・入所者の食事の訓練(本人または介助者)
・摂食嚥下機能障害程度にあった食事の作り方、食べさせ方
・ 職員の食事介助指導
・ 自助具の使い方
・ 在宅復帰に向けての家族への食事指導(栄養食事指導)
3、歯科室として
・ 口腔の治療
・ 義歯の訓練およびテストフード
・口腔ケア(入所者、家族、職員への指導)
・摂食嚥下機能のリハビリ
4、入所者の食カンファレンス(担当者会議)室として
5、食事介護用品、介護食、口腔清掃用具の展示室として
6、食関連資料室として
当苑の「食介護室」は、入所の皆様のおいしく食べる環境を回復させ、元気で生きる希望を抱けるような入り口なのです。
その意味を込めて食介護室の扉には生きる意欲を絶えず持ちつづけていただくために一節を刻みました。
“Imagine you will be restore. It is easy if you try.”
「回復する(治る)と信じてごらん、その気になれば難しいことじゃないはず」