介護食への対応1

















































































対象者を前に食べられない原因を考える

人間の進化はおいしく食べることへの追求でした。五感を使いおいしく食べることは脳の前頭葉を活性化し、生きる意欲や喜びにつながります。またおいしく感じる脳の神経伝達回路(A−10神経回路)は愛を感じる回路と同じであるといわれています。そしてその五感の情報を最大限に得る器官が口腔であり、その行為は口でおいしく食べることなのです。





しかし何らかの事情で口から食べられなくなってしまうと生活の質の低下がおこり、生きる意欲をも失ってしまいます。そのためにも生きる糧となるおいしい食事を提供しなくてはなりません。

食べられない原因には 食べる意欲がない 噛めない 飲みこめないなどがありますが、どれがなくなってもおいしく食べられないのです。それらの原因に対応するためにはどのような介護食を選択しなければならないかを、摂食・嚥下時の食べ物の流れに沿って考えてみたいと思います。

機能面の障害を見極める

食べ物の流れは、食べ物であると認知することから始まり(先行期)、口に取り込み(捕食期)、良く噛んで唾液とともに食塊をつくります(咀嚼期)。その後、食塊をのどに送り込み(口腔期)、飲み込んで(咽頭期)胃に達する(食道期)までの6段階から成り立っています。




機能面から分類しますと、大きく分けて食べ物を確認する段階、食塊をつくる段階、食塊を飲みこむ段階に分けられます。さらに食塊をつくる段階では「噛む動作」と「つぶす動作」がともないます。そして各段階での障害に応じた介護食を選択していかなければなりません。

食べものを認識する段階での対応

「食べものを認識する段階」での介護食は安全で食べやすい形態・物性から、見た目が悪い食事になりやすく、食欲を減退させてしまいます。そこでおいしくみせる工夫が必要となってきます。ミキサー状やペースト状にしたものを増粘材などで元の形に復元したり、盛りつける際に高さをつけたり、皿の中の色合いを単色にしないこともおいしく見せる方法です。

また可能であれば、食べる直前に普通食をテーブル上で加工して介助できれば、食材の元の形を確認でき、おいしさも失われることがないでしょう。手間を調理時にかけるか、介助時にかけるかの違いですが、家族と同じものを食べるという喜びも食欲を増すことでしょう。